Wednesday, November 29, 2006

「進化するネットワーク」への質問

新刊「進化するネットワーク」を共著でだされた湯川抗先生に講義にいらしていただきました。講義後にあがった質問とお答えをまとめました。

Q.  「仕入先より販売先の拡大」というのは、相対的に後者を重視すべきということで すか、前者の影響も強いと思いますが。
A. 前者は、授業で説明したとおり、PC、回線、プリンタというコモデティ化されたモノなので影響は強くないと考えられます。

Q.政策とか経営にどう適用されるのかがもっと聞きたかったです。 
A.ぜひ「進化するネットワーク」(林、湯川、田川)を読んでください。
よろしくお願いします(苦笑)。

Q. ネット企業とIT企業の違いがよくわかりません。 
A. 今回の分析対象では、ハードウエアを扱う企業はDBに入れていません。また、通信一般の企業、あるいはその付帯設備に関する事業を行う企業も除外しています。あくまでも、インターネットの上でビジネスを行う企業を対象としている点が一般の「IT企業」との相違です(このあたりも、本には書いてありますので、お読みください(再び苦笑)。)。

Q. 媒介性と利益の負の相関について、より詳しく知りたい。たとえば、その利益率の低さは競争に関わっていることが原因なのか、単に業種の異 なるクライアントをもちすぎていることが原因なのでしょうか。
A. 大変良い質問ですが、ネットワークの構造分析だけではこの問題はとけません。 個別に企業取引パターンを丹念にあたっていかない限り、識別できません。

Q. 媒介性と利益が負の関係になるのは、ある企業が同様のサービスを提供する複数の 企業に対し、互いの競争をうながすような方法で囲い込んでいるためという理解 でい いのでしょうか。 
A. それも一因ですが、それがすべてではありません。上記(4)の質問と答えを参考 にしてください。

Q. クラスター内に研究対象を限定した時と、そうでない時とでは何が違うのでしょうか。
A. 良い質問ですが、そもそもの問題意識がクラスター内部の「企業間ネットワーク」の型と、その影響を分析する研究であるため、クラスターをはずした際の結果は良くわかりません。ただ、本日お話したような企業の戦略に関してはかなり一般化できるように思っています。

Q. 会社法の施行は06年4月からのはずですが、一円企業は05年からできたのでしょうか?
A. 一円企業は会社法の施行とは無関係で、平成15年2月1日に改正された「新事業創出促進法」に基づくものです。参考http://japan.cnet.com/column/market/story/0,2000055915,20098503,00.htm

以上、湯川先生からのお答えでした。

やはり、ビジネス最前線のかたのお話は「モデルのためのモデル」「抽象論」にとどまることなく、具体的で迫力があります。私もいい勉強をさせていただきました。

Thursday, November 23, 2006

感謝祭の記憶

 Blogの投稿日時が変になってしまい、この前の投稿が、一日に複数、投稿したようになってしまった。お見苦しくてもうしわけない。

 今日は勤労感謝の日。だが、駅前の交番で日の丸を見た以外、「勤労感謝」の祝日だということが、まったく感じられない。子供の日の鯉のぼりと、元旦は例外だが、考えてみると、日本の祝日には、それらしき雰囲気をかもしだす全国的な行事があまりない。憲法記念日、緑の日、海の日、体育の日・・イベントがない。春分と秋分はお墓参りがあるか?まあ、そういうものがないほうがいいとする考えもあるとは思う。

 米国の感謝祭やクリスマス。家族が集い、食事をともにする。あるいは、家族がなく、よるべない人々を自宅に呼び、もてなす習慣をふと思い出した。もう20年以上前のことだ。カリフォルニアのサンタクルーズに留学していた頃、引退してトレーラーハウスに住む、小柄で美しい未亡人の家に、感謝祭の夕食に招かれたことを思い出した。一度もあったことさえない学生を、UCSCの留学生だというだけで招待してくださった。質素な家に大きな七面鳥、クランベリーのソース、カボチャのパイ。和服を着ていったら本当に喜んでくださった。その後、数回、クリスマスカードを交換しただろうか。年は流れ、年は流れ、いつしかご縁が切れてしまった。悔やんでも遅い。お会いしてお礼をもうしあげたいと思う、そんな年に私はなり、彼女はもう、この世のかたではないだろう。それが人の縁であり、若さの浅はかさである。

 アメリカの中流階級の人々が、普通にもつ、孤独な者、行き場のない者、何かをもとめて先へ先へと進む人に対する無条件の支援と暖かさを、今、あらためて思う。

 私が、貧乏で分別がなく(今でもこれはそうかもしれない^^)、でも、未来の幸福、先へ進めばいいことがあると、無条件に信じていたころの話である。

 講義準備。学会の特集号の依頼原稿を途中まで書き推敲。夕方からジムで、たっぷりランニングと筋トレ。出張続きでひさしぶりに体を使う快感。夜は雨。今年のボジョレーは、薄すぎて頼りない。

Wednesday, November 22, 2006

FAQ-4

Q. 複雑なグラフが与えられて自分で分析する時に、具体的にどうやってブロック化したり、最短パス長なりを求めるのか、ポイントがあれば教えてください。
A. ネットワークの特徴量を把握する指標は数多くあります。ネットワークのどんな特徴を理解したいのかによって、使う指標は異なってきます。探索的な分析の場合は、サイズ、次数分布からはじめ、密度、距離、クラスタリング係数など、一連の分析をしてみますが、定番があるわけではありません。現在、標準的な探索的分析ルーチン(試案)について書いた拙論が印刷中です。

Q. ループの意味をもう少し説明してください。
A. グラフにおいて、ある頂点をそれ自身に結ぶ弧をループ(Loop)といいます。Lopeではありません、念のため。

Q. 多重辺について詳しく説明してください。
A. グラフにおいて、異なる二点を結ぶ二本以上の辺を多重辺といいます。

Q. 主要取引先のデータをとる際に、厳密に調査はできなかったのか。
A. 郵送調査あるいはインタビューを行い、部品に限定して主要な取引先を尋ねるという方法もあります。コストを考えると郵送調査が妥当でしょう。一度、調査票を丁寧に設計して実施してみたいと思いますが、日産データのあとの課題です。なお、部品に限定すれば、「主要自動車武神245品目の国内における納入マトリックスの現状分析」という高価な資料もありますが、部品ごとの納入企業の特定になるので、取引の全体像を構成するには十分とはいえません。

Q. ブロック間の関係を表す数値はノード数にも影響されるとのことですが、どういう場合に数値が0や1になりますか。
A. ブロックを構成するノードがすべて孤立点の場合は、ブロック内関係は0になります。ブロックを構成するノードがすべて連なっている場合には、ブロック内関係は1になります。

Q. 組立メーカーの協力会の取引先データがグラフであらわされたとして、経営にはどういかすのでしょう。
A. 取引先の取引先が取引先であるとすると、信頼を損なうような行為、あこぎな取引はなかなかしにくくなるのではないでしょうか。企業取引が、相互取引関係に「埋め込まれている」状態です。グラノベターの言う埋め込み概念です。相互の取引関係を理解したうえで取引を行うこと、また全体構造のなかで自社が占める位置を理解することは、大事なことだと思います。

Q. 協豊会に所属せる、直接トヨタに部品を納入する企業は存在しないのでしょうか。
A. 正確なところがわからないので、確認してみます。

Q. ネットワーク分析では、主体のいろいろなつながりをすべての面から平等に分析できず、一部の面にならざるを得ないのでしょうか。
A. おっしゃるとおり、主体が埋め込まれている複数の関係のうち、特定の関係をとりあげ、分析をします。他の種類の関係は混在させずに、別ものとして扱います。なお、コンテクストで関係を分け、複数の関係を扱う場合には、関係多重送信性という概念を用いることもできます。

ネットワーク分析 FAQ (3)かな?

Q. Q&Aを復活させてください。
A. 見てくださる人がいるとうれしいです。早速復活させました。

Q. 弱い紐帯の理論とスモールワールドの理論は似ている気がするのですが、別ものですか?
A. 情報の発信力については、紐帯の強弱の代わりに、関係の重複性が取れればよかったということはグラノベターも言及しており、彼の問題意識がSW問題に繋がっているのは確かです。

Q. ユークリッド距離のZikは何をさすのでしょうか?
A. 隣接行列の要素(成分)、すなわち関係の有無ないし強さです。

Q. Zik-Zjk、Zki-Zkjは有向グラフを仮定しているのですか。
A. そうです。重みつき、有向グラフへの対応が可能です。

Q. ユークリッド距離で使う位置の類似度は、0または1のみですか。
A. 関係の強弱についてのご質問だと思いますが、バイナリの行列のみならず、重みつきの行列も扱えます。たとえば、友人関係のネットワークが携帯電話をかけた回数によって規定されていれば、その回数によって関係の類似度が計量できます。

Q. ブロックモデルの目的は、ただグラフを見やすくするだけですか。
A. ネットワークの中の固有の位置 "Position" がいくつあるのかを見分けるという重要な目的があります。またポジション=ブロック内にどのノードが属するのかを見極めること、ブロック内部の関係と、ブロック間の関係構造を理解するために使います。

Q. イメージマトリックスの対角要素は何を表すのでしょうか。
A. ブロック内部の関係、ブロックに属しているノード同士の関係の有無です。

Q. ブロックとしてまとめられた部分の中の結びつき関係は、意味があるのでしょうか?ないのでしょうか。ブロックモデルによってブロック内部の関係が見にくくなりませんか。
A. 確かに図で表現してしまうと、ブロック内部の関係はわかりにくくなります。ループ(自分から発して自分に戻る矢印ないし線)を描かない限り、ブロック内の関係は見えてきません。

Q. グループとグループの行列を持ちいれば、mixiのコミュニティ問題に使えますよね。
A. はい、mixiのコミュニティがどの程度、共通の人々を含んでいるのかによって、類似度が計れます。

Q. ニ部グラフの行列とその転置行列をかけたものの意味が、なぜそのような意味をもつのかはわかりません。
A. AさんとBさんを結ぶグループGは、Aさんの所属しているグループの集合と、Bさんの所属しているグループの集合の、共通部分(交わり)になります。行列の掛け算からこれが導かれるのは直感的に理解しにくいかもしれません。小林淳一「社会のメカニズム」第二版 6章 ”行列による社会ネットワーク分析”p.103~118を読んでみましょう。

Q. ユークリッド距離の計算式って覚える必要がありますか。めんどくさいんですけど。
A. 人生に一度くらいは、小さなグラフでよいので、一度は手計算で解いてもらいたいと思います。本質がわかれば、その後はコンピュータに任せましょう。いつが一生に一度かは、想像がつきますね^^。

Q. ユークリッド距離の絶対値は意味があるものなのですか。大小だけに意味がありますか。また、用途がわかりません。
A. ノードの構造的類似度の差異を見る以上のことはできません。絶対値はネットワークのサイズと紐帯の力に依存するので、異なるネットワークでの比較も意味がありません。 大きなネットワークで構造同値が視認できない時、連続的に類似度を考えたい時に、ユークリッド距離の算出は大変、便利です。

Q.イメージマトリックスの中心・周辺、派閥、集団ー仲介などがよくわかりません。イメージがしにくいです。
A. それぞれ、グラフを描いてみましょう。対角要素の意味がわかればより理解しやすくなると思います。

Q. 構造同値をブロックモデル化するときの基準は、分析者がある程度決定してよいのでしょうか。
A. UCINETではCONCORアルゴリズムを使いますが、ユークリッド距離を同値性の判断基準とすると、分析者が閾値を決めざるを得ません。実際には、距離に大きな差がでるところなどを基準値にしてしまうことが多いです。

Q. UCINETの重み付きの線をあらわすやり方がわかりません。
A. Netdrawで描画の後、Properties → Lines →Label Visible で、重みがラベルとしになります。以上

Saturday, November 18, 2006

広島

 広島大学マネジメント学会。サプライヤのネットワークの構造特性の話。90分。方法論の質問多く、コンテンツへの反応がなく、やや残念。報告のしかたに問題がなかったか、かえって検討しなければいけない。
 市電のいきかう街をホテルに戻る。女一人の出張などたかがしれている。お好み焼き、というのか、広島焼きというのか?もみじやき というのか?で夕食。広島城がみえるホテルの、静かな夜。
 広島は何年ぶりだろう。以前、来たのは8年、くらい前だろうか、9年くらいだろうか。学会だったかと思う。マツダの工場を見学し、宮島へまわり、岩惣へ行った記憶がある。今、紅葉が美しい頃だろう。
 

Monday, November 13, 2006

関係を制する

 「関係を制する者はマーケティングを制す」

 消費者のつながり、人々の関係のありかたが、デジタルプラットフォームの進化ですこしずつ、見えるようになっってきている。つながりたい=関わりたいという人々の本能と、その結果としての関係構造が、SNSやblogで顕在化しつつあるのだ。友人、知人関係、消費者同士の関係・・・今までは見えていなかった、いろいろな関係が急速な勢いで、可視化されつつある。「見える化」が進んでいるのだ。 これはすごいことで、

 見える=計量できる=管理可能性・・・

 である。要するに、現代の消費者がもつ複数の消費パターン(NRIのs氏の持論だが)のうち、どのパターンが現れるかは、その消費のコンテクスト=状況、つまり、誰といるか、誰と関わりながら購買、消費をおこなうかなのだ。だから、消費者の消費行動の背後に必ず存在する、そこにある関係を理解し、そこに関与していくのが、属性がちがちにかたまった従来のmsをこえるための現在の課題である。誰と飲むかが、飲料の選択を変える。個人=その嗜好=特定の飲料ではない。個人+周囲の人=飲みたい飲料。である。

 いつもの持論を、ccjcさんの大きな会議で語る。
(お台場のホテルを会場に素晴らしい設営。スタッフ、快調に話させてくれて心地よい。さすがプロ集団の巧みな仕事。)

 自動販売機に情報収集機能を与えること+レコメンデーション機能もつけることも課題。全国100万台以上、一日2000万人が使うネットワークを利用しない手はない。ボトラーさんが、商品を補充するだけではあまりに惜しい。まさに消費者との物言わぬインターフェースである。情報収集・発信機能=コミュニケーション機能を加えれば、宝石箱だ。実験的に一部でもいい、エリア限定だけでもいい、ぜひ試してもらいたい。

 そんなお話。いつもながら、私のしゃべりは、冒頭が、もたつき、しゃべりかたがはっきりしない。「え、え・・?何をしゃべってんだ・・・?」のような感じで始まる。が、そのままもちゃもちゃしているわけにはいかない。・・・で、注意を喚起させていただいて、10秒前後で、トーンを変える。声もではじめるし、伝えたいことが、文字になって聴衆の顔のうえに浮かぶ。そこから、話が始まる。今日もそんな感じ、もわもわっとしながら、前後のしめが甘く、威厳がないこと甚だしいが、残って欲しいのは、私の記憶ではなく、メッセージそのもの。関係を制せよ。である。

 さて、今日のお客様にかかわる思い出話。
 コロンビア大学の院生の頃、まだお酒を飲まない頃の話だ。確か当時は、コーラの2l瓶を毎日飲んでいた記憶がある。
(私のコーラ歴は小学生の頃から結構長く、大学院修了後着任した大学でも、講義のお供は、お茶でも水でもなく、コーラだった。講義に入ったら、学生がさしいれに壇上においておいてくれたことがあり、感激したものである。)話を元に戻して、当時は、コーラとペプシはもちろん(これは今でもできる)、ダイエット、チェリーコーク、カフェインレス、ダイエットのカフェインレス、はてはニューコーク(一時ありましたねええ・・・)まで、目をつぶっても飲みわけられた。きき酒ならぬききコーラである。得意技であったが、もう、無理かな・・・。いや、ちょっと飲み直して、比較を数回やれば蘇るような気もする。

 ビール、発泡酒の膨大なブランドで、はたしてできるだろうか。お茶はどうか。チューハイはどうか。
 そう考えてみると、やはり飲料の選択の最終決定要因は、やはり、誰と飲むかにつきると思う。そんなことを考えた今日のパネルセッションであった。

Friday, November 10, 2006

イビサ

 今日の講義は、べき則・コンポーネント・切断点・橋など。
 今年は、「抽象→具体」の展開をやめ、毎回の完結性も徹底しない。「具体例から抽象へ」という流れをできるだけ作る。そして毎回の連続性を重視し、以前の内容と重複する内容も盛込み、くりかえして確認させ、理解の精度をあげてく。・・・・ことを念頭において進めている。効果はどうなのかは、学期末にならないとわからない。

 先日、出張中に立ち寄った古本屋で偶然、買った本。
 "わたし達は他人を触媒にして変わる。それは分子や原子の化学反応と基本的に同じだ。磁気の働きとも比較できるかも知れない。すべての人間は他のすべての人間の触媒なのだ。" 村上龍(1995)「イビサ」 講談社文庫 p.109 より。この人の本は、ほとんど読まないが、この文章は大変に気に入った。

Wednesday, November 08, 2006

ccjc

 人と人との関係をうるおす ・・・
 人をうるおすだけではなく。ということか。ccjcさんのお仕事のため、事前に勉強。
 関係をうるおす・・・・ところがいいなと思う。空間、すきま、あいだ・・・目には見えない。個体ではなく個体と個体のあいだを維持することの難しさを思う。めにみえぬ、個体と個体のあいだを操作しようとする意図に、警戒感も感じる。
 関係の難しさではある。
・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず。

 

Monday, November 06, 2006

長崎出張

 今朝一番の講演のため、昨日から長崎県に出張。
 日曜日の夕方には、当地の大学の情報系の先生とのうちあわせができた。せっかくの機会だからとお声をかけてくださるのがうれしい。日曜日の夜にもかかわらず、市内の良いお店をおしえていただいた(ヒントは鯨)。
 今朝は長崎から隣の市に移動して講演。私の仕事は大きく、ネットワーク分析(手法系と応用系)と若年雇用・地域振興系にわかれるのだが、今回は後者である。今年は企画の最終年の3年目になる。毎年三校ずつ当地の学校をまわり講演をさせていただいている。

 若年雇用の問題は地域性が強く、また経済状況に大きく影響されるため、十把一絡げにはできない。ニートをだめな若者の代名詞のように使う風潮にも納得がいかない。景気の回復で、大都市の有名大学では内定辞退続出の売り手市場である。だが、地方ではまだまだ景気回復の兆しはみえず、雇用の広がりを感じられない所が多い。また、景気回復は短期的には、若年雇用をめぐる問題を解決するが、景気が回復すればまた逆戻りである。キャリア教育、ニート・フリーター支援の再チャレンジなど、政府主導のプランは多いが、その効果の測定はなされないままに膨大な予算が使われ、また今後も使われようとしている。雇用対策に否定的なものではないが、その目標設定と、成果の査定をいかになすかはやはり課題のままである。

 まっすぐな子供達(今日の聴衆は小学生150名!と先生がた。)と接していると、彼らのもつ可能性と職業機会の制約、地域発展に不可欠な雇用の維持と、競争原理のバランスをいかにとるか。責任の重さを痛感する。長崎県は数年前の統計だが、いろいろ並べ替えてみると、高卒の県外就職者が都道府県でもっとも多い県であった。離島では今でも病院がなく、風邪で亡くなるかたもおられるときいた。青い海が美しく、棚田の緑が光り、雲仙の山にけむりが漂う歴史ある土地である。もっともっと理解したい。若年雇用の問題の本質を考えるために、私はやはり、松江しかり松本しかり、東京以外を見つめていたいと切に思う。

 フライトの時間があわず、長崎空港の待合室で4時間、原稿を書く。バッテリーあがり、空港で電源を拝借した。もうしわけないことをした。チェリー豆と松翁軒のカステラを買って帰宅。カステラはこちらhttp://www.shooken.com/のが一番だと思う。
 こちらは、二年前に長崎の路面電車を待っていた時に、偶然話かけてくださった老紳士が勧めてくださったのがご縁で、買い続けている。東京では手に入らない。くだんの紳士に、松翁軒さんの「どこがおすすめの理由なのですか?」と尋ねたところ、「ざらめじゃ。ざらめの量がちがうけん・・」とおっしゃっておられた。確かに、底?と上部?にザラメに粒が多く、砂糖がしっかりしている気がする。カステラ。子供の頃の記憶。甘いものを食べなくなり、ブランデーでもかけようかと思う昨今だが、現在でも懐かしく思う。

Thursday, November 02, 2006

探索的ネットワーク分析 RSS御礼

 ”探索的ネットワーク分析の標準手順” Early Version  完成。

 何らかのネットワークが与えられ、その構造的特性及び構成要素の属性についての事前知識がない場合には、どのような手順で、そのネットワークを分析すべきか。考え得る一連の手順を、順に列挙し、探索的ネットワーク分析の標準的分析枠組として整理したもの(12000字強)。

 標準的手順などと、たいそうな名前をつけたが、これは筆者の所属組織の影響かもしれない。標準的手順、作業と言いながらも、実はそれは常にたたき台であり、さらなる「カイゼン」を皆で加えていくうちに、より良いものになっていく(はず)・・・。という発想である。依頼により執筆した原稿であるが、掲載日時不明とのことで先が見えない。掲載される原稿は、編集者の意向や読者傾向の調整があり、現在のものとは多少、異なる可能性が高い。 依頼された分量が8000字であった(汗)。また、掲載される頃には、新たな手法やツールが開発されているだろう。それほど、進歩の早い研究領域である。標準手順の作成は、9月末の消費者行動研究学会のワークショップ(喋りすぎのBLOG)の参加者との会話でうけた刺激がきっかけとなった。参加者、企画者のかたがたに感謝している。

 著作権は著者が保持しているので、Early Versionの段階で、ご希望のかたには頒布いたします。現時点の標準手順。ご希望のかたは、メールでご連絡ください。

  設定問題
mixi とこちらとを、RSS設定問題で行き来している。内容と筆者の性格を反映して、コメントがつくことがきわめて稀なBLOGであるが、RSS設定問題については、即座にレスをいただいた。ありがとうございました。先刻、調整をおこなったので、ここ数日でおちつくものと思われる。mixiの数年分の蓄積にアクセス不能になるという問題があるが、制約がきわめて限定的だったため、問題はないだろう。また、問題が生じたら、戻ることも考えられる。
 

Wednesday, November 01, 2006

組織診断

 組織学会研究大会でも報告した、組織診断とネットワーク分析について、ジャーナルへ論文を書くことになり、先日、テーマ設定、データの再整理と、共著者との調整うちあわせ。方法論がなければ、データあれども何もできず、当然、論文も書けず。だがデータなしに方法論だけでは、具体的なモノは書けない。SQLサーバのデータを加工し、特定の形式に変換して組織のリアルなデータを提供してくれるかたもある。当初からのプログラミングとネットワーク分析の融合に可能性をみた舞台の設定者もある。直接、ログデータはたたけないが、ノイズ除去に誠心誠意をこめてくれるかたもある。これらがみな、インタラクションしつつ、ノウハウをだしあい、紆余曲折しながら開発は進む。

 工学系の、関与した人全部=データを整形した人、お金をだした人、企画した人、すべて共著者設定の論文にするか。一文字でも書かない人は排除する社会科学系設定でいくか。他者と共同で、自分にはできないことを誰か他者にしてもらって書いた論文の場合、共著者設定をどうするかは、いつも課題である。企業のかたがデータをl、それも整形して、こちらのお願いした形式でくださるのを当然と思ってはいけないと思う。では、フィールドとして人から聞けない話をきかせてくださった企業のかたはどうなるんだろう?企業データの提供者はどうなのだろう?つきつめていけば、彼らの誰ひとりとしてなくしては書けないのだ。とはいえ、インタビュー、参与観察の対象のかたを共著者にするという風土は、学者にはないもの確かである。

 研究関心で関与してくれた学生がデータを分析するのは大変いいことである。ただ、グレーゾーンは守秘義務のかかっている案件に、アルバイトとして謝金を払っている場合。これはビジネスであり、学術研究にそのプロジェクトデータを使うには、細心の注意がいる。ここは、一線を画していただくのがいいのかもしれない。 このあたりは、実に微妙である。
 が、著者、共著者、順番、業績は、すべて実態を反映したかたちで、というのがもっとも良いだろうと考えている。関与してくださるかたが、共著作品をどう位置づけるかということにも当然、影響する。ビジネスなのか学術的実績にしたいのかで、筋をとおすべきところはとおしてもらわねばならぬ。何で飯を食っているかの違いである。

 お作法が違うといろいろ悩みはある。が、人生いろいろ、これらもやはり、誰もが通る道。多様性を求め、空隙に架橋すればなおのことである。

 尊敬してやまぬ、神戸在住のH先生から、訳書「競争の社会的空隙」について過分なお言葉のメールをいただく。先生には、お目にかかれぬ状況になり、長い時間がたつ。社会ネットワークについて、我が国初の本を編著なさった、まさに日本初のネットワーク分析者であられる。私にとっての届きえぬ金字塔であり、先生の15年以上前の本に追いつけないのが私の力量である。神戸にむいて、黙して一礼する。
 
 あれこれで原稿頓挫。明日、徹底的にこなさねば。

弊社は、政府ならびに京都府・京都市外出自粛要請に従い、 完全休業させていただいております。残念ながら実質的には 3月以降、外出自粛に従い、コンサルティング ビジネスなどは一切、おうけできない状態にあります。 ・ネットワーク分析のノウハウ、 ・企業内人事の仲介と橋渡し ...