Monday, August 28, 2006

関係の不在

 生産性新聞8月25日号に ”人脈のアントレプレナー”というコラム記事を書いた。ホットタイムというコーナーで、息抜きに読むような短文である。

 アントレプレナーという言葉がフランス語であると知っている人は多いが、その語源は意外と知られていない。これは、 entre なにかとなにかの間で + preneur 得る人。つまり、仲介者、媒介者である。今までになかった技術やサーヴィスと資本を結び、商品と消費者の間に入って儲けるのが起業家であるから、語源もなるほどと納得がいく。
 ネットワーク分析では、我々、分析屋は、関係のある部分よりも、むしろ、関係がない部分に注目する。関係が不在の所、ない場所を、「空隙」Structural hole という。関係のある部分ではなく、ない部分に注目し、そこを架橋することで優位性を得ることを、空隙戦略とも言う。人は自分の知人を増やしたがるが、知人と知人を結びつけるということはしたがらない。その理由はわからないではない。だが、人脈を豊かにしたければ、数の増加もいいが、人間関係の架橋を考えてみてはいかがなものか。・・・ という趣旨の文章。

 ネットワーク分析屋にとって、一番、困惑させられるのが、完全グラフだ。すべての人がすべての人とつながっている状況である。きれいではあるが、関係に散らばりがないと、説明変数を導き出せなくなる。誰と誰の間が、つながっていないのか。どの企業とどの企業にあるべき関係がないのか。関係の不在こそが利益の源泉である。禅問答のようだが、ない関係、関係の不在こそが、空隙の優位性を生み出すのだ。

 詳しくは、Ron Burt 教授の Structural Holes を読んで欲しい。(なお、翻訳本を、この秋には出せそうです)♪

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