Tuesday, October 31, 2006

Pajek 竹の水仙 甚五郎

 講義後。「pajekによる探索的ネットワーク分析」の翻訳プロジェクトについての打ち合わせ。
 スロヴェニア語で蜘蛛を意味する、pajekは、大規模ネットワークの分析用のソフトである。近年、INSNAのゲストスピーカーに開発者が講演にいらっしゃるなど、その存在感を高めている。UCINETに続きまちがいなく、定番になっていくだろう。
http://vlado.fmf.uni-lj.si/pub/networks/pajek/

 上記の本、単なるマニュアル本ではなく、家系学、サイテーション連鎖、伝染などの事例も豊富であり、従来のベタなイメージの「社会学」の社会理論の検証のためのネットワーク分析とは一線を画していることを強調。近年の、日銀、統計物理、医学、代謝系のかたがたへのひろまりなどの話をして終わる。元々、歯に衣着せぬ編集者のかたで、以前お会いした時に仰天したのだが、今日もあいかわらず、ユニークな発言をしてくださった。A出版社、反応が楽しみである。他にも可能性は検討するが、出版社がいくつNGでも、弊社でコード番号つけてご希望のかたにお譲りする体制は作るつもりだ。
 目標は新春。早く、使い手としても腕を上げたいところである。

 開発者のかたとは、昨年10月にチューリッヒの会議でお会いしたが、まだ若手の30代の研究者(博士論文のテーマとしてこの開発をなさっったとのこと)Andrejと、その先生である。Andrejが緻密、地道、寡黙なソフト開発研究者のイメージであるのに対し、この先生は、まるでハイジに出てくるおじいさんのように、恰幅がよくひげをはやしていて、悠々たるもの好印象の先生であった。自力でプログラミングすること無しに大規模ネットワークの解析をするには、このツールは不可欠。日々、発展し新指標を組み込んだ改良版がでているので、インターフェースの使い勝手は、まだまだ改善の余地があるが、目は離せない。

 豊田秀樹先生 いい本、「数理統計学ハンドブック」監訳なさったようだ。朝倉書店。高価だが欲しい。彼は本当にいい仕事をする。共分散構造分析の左甚五郎のような人。昨夜、落語の本を読んでいて、そう思った。(寄席に行きたいが、行く時間がないので、最近は毎夜、落語の全集を読む。やはりいいのは、古いが興津先生のもの。流れ、言葉、やはり勉強になる)。

 その他、20時過ぎまでの会合では、むにゃむにゃ多いが(これは内田氏の表現のまね)、それらはまたいずれにする。
一つ重要な良い仕事=儲からないが、ずっとやりたかった仕事が来る。具体化は今後だが、おかげで今日が良い日になった。

 神様にだけ捧げるような仕事ができればいいと思う。ここのところ、お金、つきあいなどなど、やっつけ仕事が多すぎて、アウトプットの質が悪く、反省。知的、論理的、経済的、使命感=合意 なくして仕事をすると、あとでまた自己嫌悪に駆られる。で、評判もさがり悪循環にはまる。当たり前のことだ。
 金銭、つきあいに関係なくてもやりたいと思う仕事を選び、そこに全身全霊をかけること。左甚五郎のネズミの落語が思い出させてくれたのは、その感覚。拙著「働きたいのに働けない・・・・」論座連載の初回を書いていた時の、あの、カミソリのような、静けさ。フリーランスとしての生き方は、かつてもBlogに書いた、伝説のS氏。「見境なく仕事をうけるのは、貧乏」を、思い出す。貧乏で悪いか(笑)・・・と笑い返したが、それで質を落とすならおおいに悪いのである。

 甚五郎の反省とともに、あらためてまた仕事を選び、魂をこめた仕事をするようにしたい。(どこまでできるやら(笑))
竹の水仙 木彫りのねずみ

RSSによりmixiより移動

 mixiの設定をこちらに変更。変更理由は、ebloggerで atom だけではなく RSS も可能になったことだ。まだ、試行的に使っている。閲覧者の制限をかけられるmixiもそのまま保持してある。が、公開設定を変えない限り、外には出なくなった。ま、しばし試してみようと思っている。
 RSSがよくわからず、試行錯誤していたが、やはりこういうものはやってみる、使ってみるに限る。あとはrssfeedの表示設定が課題だ(涙)。翻訳にはまり、雑用にはまり、今日はこれまでにしておこう。

Monday, October 30, 2006

教室変更ですよ~

 明日、31日から、講義の教室変更。小さい教室のほうが顔が見られるし、対話がしやすいのであえて変更してもらいました。受講中のみなさん、(ここの存在はしらないと思いますが)、気をつけてきてください。明日、とその次くらいは混乱が予想される。適正人数はいつも疑問だが、初年度の300人も困るが、去年の最終20人も少し寂しいか。講義している側は勝手なモノで、熱心な学生が少数精鋭、いや、多数精鋭を望んでいたりする。

 ようやくホーソン実験、ソシオメトリーからホマンズに入れる。地雷をしかけ、問題意識をそだて、えっ?と思わせ、気がついたらネットワークを好きになっていてもらいたい。のめりこむだけの価値はある。

 どうやら、10/25発売の 「競争の社会的構造」amazonさんで、在庫切れ?。書店めぐりをしたら、社会学のコーナーにはなく、経営、ビジネスの新刊書のところにあって、仰天した。出版社さんの戦略か、はたまたタイトル、帯による分類の産物か。今回の特色は、表紙の装丁と帯。常に本の装丁はいっさい、心から信頼している編集の方に一任しているが、今回は迫力満点。

 B&Cもとりかかりたい、ESNAPは現在進展中。マニュアルの詳細も作りたい、定石集・定番ルーチン集も作りたい。時間がたりない。作りたいものが大きくなると、時間の単位が変わり、階段一段一段が長くなる。

 どうか、しばしご猶予ください。いいものをお届けできるように努力いたす所存です。(会社の商品開発担当より)

 

Tuesday, October 24, 2006

FAQ第二段

「スモールワールド・電話帳法」への質問 暫定版

Q. スモールワールドとランダムの差はどこからですか。レギュラーグラフは、一本でも正規型からくずれればスモールワールドになるのでしょうか。
A. 定義では、正則グラフは、どの点も同じ数の変と接続するグラフなので、一本でも関係がリワイヤされれば、正則グラフではなくなります。ワッツらのシミュレーションでは、、クラスタリング係数がある程度の高さを保持したまま、急に最短パス長が短くかけた状態からが、いわゆる「スモールワールド」をよく表しているように思えます。

Q.ミルグラムの実験では、217通のうち64通が届いたということですが、残りの153通のなかには、本当につながりがないという可能性もあるのではないでしょうか。この実験結果はで6次の隔たりを主張するのは、やはり疑問です。
A. はい、どう知人を介しても、本当につながりようがないスターティングパーソンと、ターゲットパーソンのペアが含まれている可能性が高いです。

Q. クラスタリング係数は、局所的な凝集性を計測する指標だとありましたが、これはネットワークの全体的な特徴をみる指標としても活用できますか。
A. はい。個別ノードのエゴセントリックな特性を示す指標としても、また全ノードのクラスタリング係数を平均して、ソシオセントリックな指標として使うこともできます。

Q. ミルグラムらの実験結果の妥当性を考察する方法、ないし証明法があるとしたらどういうものが考察できますか。
A. これは難問です。(回答募集中)

Q. ミルグラムの郵送実験ですが、むしろ、到達地点までに届かなかった、その理由が問題なのではないでしょうか。無限に発散したのか、面倒くさくてやめたのか。第一段階で発送しなかった人の割合を考えると、二段階目、三段階目と、継続して発送している人の数は大変に少なくなります。A. 確かにそのとおりです。これは、後日、教室実験を行い、皆さんにも考えてもらう予定です。

Q. 電話帳法について、苗字があやふやだが親しい友達は一杯います。また、苗字の数は、米国が多元国家であると考えると、米国のほうが多いと思われます。割合で計算するのだから、米国のほうが正確な数字になるのではないでしょうか。A. いずれにせよ苗字による推定には多くの議論があります。が、他に知人数の推定実験より良い方法が見つからないのが現状です。

Q.知人数の推定というよりは、電話帳法ででてくるのは、「想起できる人数の全体」なのでしょうか。A. 私も時々、そう感じます。「記憶力の差が、知人数の差になってるんじゃない?」と冗談に言うこともあります。 

FSEO 1020分です(暗号です、気になさらず)。

Monday, October 23, 2006

竹馬や

※11月23日 朝日新聞 1面の下に、新曜社「競争の社会的構造」の広告が出ました。(御礼)
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 竹馬やいろはにほへとちりぢりに

 久保田万太郎氏の句である。歳時記 ?で考えると、竹馬がお正月、冬の季語なのだろうか。
この方面は疎いので厳密にはわからないが、旧友、知人、もしかしたらかつての恋人をしのばれた句なのかもしれない。俳句も和歌もたしなまないが、いつも覚えている句。

 週末、所用で出かけ、多くの昔の知人にあった。若く美しかった、琴の姉弟子は、美しさそのままに名取りとなり、立派な師匠になっておられた。わずか二ヶ月の結婚生活(急性白血病で亡くなられたとのこと)を語る声は、さすがに芸能で鍛えた若々しい声である。伝統芸能の教室は、どこでも少子化のあおりをうけ、大変だとのこと。よくわかる。狭い世界だけに、私がご縁があって奥免状をいただいた先生はもちろん知人、かつて、再会のこの土地に疎開されていたことも判明。
 覚えているのは山田流箏曲のいくつもの旋律や、唄。先代のお家元のお姿。新春のお弾き初めの華やかさ。

 竹馬にのったことはないが、人のつながりは、そんなものかもしれない。

 まったく分析的ではない、無駄話ではある。

Saturday, October 21, 2006

競争の社会的構造 本日発売

 ネットワーク分析の至宝。恩師 ロナルド・バート教授の Structural Holes の翻訳本。本日、発売になりました。新曜社さんからです。まだ、amazonにはでておりません。数日内に準備できると思います。私の不覚で、思ったよりも時間をとってしまいました。訳も満を持してといいきれないところ、あります。でも、抄訳でなく、五体満足で、おとどけできたことでほっとしています。
 どうか、本書を読んで、ああ、訳へたくそだなと思ったら、原著にあたられてください。
 非力な訳者の非力なお願いです。
 表紙他、スキャンしだいup します。ちょっとすごい、迫力のある装丁です。

 Ron、神様 ・・・ この日が迎えられました。非力をどうかお許しください。そして、ありがとうございました。

Wednesday, October 18, 2006

Netsciの相互交流の試み

  “ネットワークの科学に関心があり、それを使って研究をする社会科学、行動科学、その他多くの異なる領域にいる研究者の相互交流を目的とした[1]”Netsci2006が2006年5月16日~20日(ワークショップ)、22日~26日(大会)が開かれ、バラバシ、ワッサーマンらがオーガナイザーとなりインディアナ大学で開催されている。本当に 参加したかったのだが、講義のため断念。参加なさった増田先生に尋ねると、そうとはいっても、文理融合というほどのインタラクションはなかったような・・印象だったそうだ。来年開催されるのであれば、行きたいものだ。(開催されるかどうか、あるいは今年の状況の情報をお持ちのかたいらしたら、どなたか、お教えくださいますか?情報求む。)

 ネットワークに関する研究は、多くの異なる分野で行われており、研究者は各分野のなかでは、少数派の存在である。確固たる学術的な一分野として確立していないので、個別の領域によほどインプリケーションのある研究でないと、それぞれの領域で受け入れてもらえない。つまり、個々の領域における学術的問題を、ネットワーク分析で解いた場合にのみ、その学会のジャーナルに載せてもらえる。これはこれで大変に重要なことだ。それでいいと思う。

 だが、英語誌、Social Networks 以外に、純然たるネットワークの学術誌はなく、国内で投稿しようにも類似のものはない。となると、世界的には通用しなくても、日本語では書いておきたいという論文の行き場として、欲しいのが学術誌である。 「そのために、ネットワーク関連の研究会をたちあげ、学会もつくりたいなあ・・・」というつぶやきを誰かがどこかでしていたような記憶がある。私は、徹底した孤独愛好者であり人間関係調整能力ゼロであり、集団活動、ましてや、権力闘争や派閥形成は好まない。したがって、集団形成や資源動員の動きには警戒的だが、学術雑誌が欲しいというのは理解できなくはない。

 そういえば学術振興会の科学研究費時にも、「ネットワーク」という項目がないため、知人の研究者はみな、経営学、社会学、数学、ナノテク、生物、AIなど、ばらばらの領域でばらばらに申請し、採択されたりされなかったりの苦労はなさっている。ジェンダー研究が一大言論勢力となり、一大申請分野として確立していたりするのを見ると、やはり Invisible Colleges ダイアン・クレーンの名著を思い出す。「科学の真実、最先端は、社会的に構成されるもの。それを構成している研究者集団は目に見えないネットワークを形成し、権力とともに、何が研究されるべきか、何が科学的に重要であるかさえ規定している」。学会をつくりたいという動きもこういう趨勢と関係があるのかもしれない。
 
 応用研究者は、基礎研究者とことなり、先行研究の引用文献数が少ないという論文を、「研究・技術計画・政策科学」で今日読んだが、このあたりも文理融合、学際研究の課題だろう。確かに、異分野の先行研究を丹念に読み、引用するのは難しく、また、業界へ参入しつつも先駆者の研究を押さえていない者に腹をたてる研究者も多い。「そんな話はずっと前に○○がやっているぞ~、調べてから書いてほしい」みたいな。学際的研究が、領域をクロスした査読者にあたるとこんな感じになるのだろう。確かにここはハードルが高い。が、がんばりどころでもある。

 などなど、昨今のネットワーク分析、ネットワーク科学、複雑ネットワーク、ネットワーク生態学、ネットワークマイニングなどなど・・・に関する一連の試みや、研究動向について、現在、上記の「研究・技術計画・政策科学」誌のために原稿執筆中。掲載時期が確定したら、また記します。
  

[1] http://vw.indiana.edu/netsci06/ より

Tuesday, October 17, 2006

network analysis FAQ (trial version)

ネットワーク分析 FAQ (試作品です)

Q. ネットワーク分析では、分析する時に何を見るのでしょうか?
A. 関係のない部分、関係の偏っている部分に注目します。完全に皆が皆と等しく連結しているような情況、あるいは、全く関係の存在しないような場合には、ネットワーク分析は手出しができません。帰って寝ましょう。

Q. 可視化すると用いた数値データがあいまいになってしまう気がします。そこまで精緻な情報は、ネットワーク分析の対象ではないのでしょうか?
A. はい。点と線だけの単純なグラフにすると、紐帯の強弱、関係の強さの情報が欠落してしまいます。そのため、紐帯の強弱を数値で紐帯のわきに記す、重みつきグラフを描いたり、場合によっては線の太さを変えたりして表示します。後者の方法でも、一定の情報は失われます。

Q. 行列をどうネットワーク分析に使うのかが知りたいです。可視化のためというのは、わかりますが、行列は足し算や掛け算をするものではないのですか?
A. 行列の足し算やかけ算って何のためにするのでしょう?ネットワーク分析の指標を算出するために、私は行列の演算をします。

Q. 産業連関分析では、紐帯数の多少に差があるということですが、業界規模が関係しているだけではないのでしょうか?ネットワーク分析をする意義がわかりません。
A. 各産業ごとの規模の大きさもさておき、他産業との間に存在する強いかかわり(投入量、産出量)を抽出しています。単体の産業連関表のネットワーク分析は、数理社会学による経済学領域へのINVASIONを楽しむというスリルもあります。

Q. mixiの研究でどんなことがわかりましたか?
A. クラスタリング係数が0.3と少し、パス長の平均が5ステップくらいなどの、基礎統計量ですね。ATRの湯田研究(05.06)、松尾・安田(投稿中)を後日参照してください。

Q. 単純なローカルルールを積み重ねて、複雑なネットワークを作ることのイメージがわきません。
A. 伝染病の蔓延、感染症の連鎖構造など、「未知で形のつらなりがわかっていない」関係の全体像について、モデル構築をしていきます。(勝又、安田06参照)

Q.アクターの性質を他のアクターとの関連から見るのだとは思いますが、その他のアクターの性質を考えないことには、理解したいアクターの性質はわからないのではないのでしょうか。
A. はい。分析を行っていても、当該アクターそして、当該アクターと関連をもつ他のアクターの属性、性質についても最終的には考慮にいれたほうが、研究は豊かになります。

Q. ネットワークの可視化、説明可能性、管理可能性、そして打ち手の提案という流れですが、具体的なイメージがわきません。
A. この提案までのプロセスの実現が一番難しいところです。構造抽出→絵→状態記述。その後いかに、そのネットワークを効率化、合目的化した形態にするかというのは、分析対象にもより、一概には言えません。講義では、できるだけ具体的な例を探して話たいと思います。

Q. グラフ理論という用語がありましたが、”理論”といわれてもぴんときません。
A. Graph Theory のTheoryの部分ですね。グラフが、点と辺からなる構造だというのは講義で説明しました。グラフの数学的特性を考える研究分野です。この理論の出発地点は、ケーニヘスベルグの橋です。歴史的な発展経過についは、「グラフ理論への道」。(素敵なタイトルですね。)土人書館をお勧めします。

Q.行列の転置は、分析にどう使えるのでしょう。
A.単純な例では、商取引あれば、商品のネットワークを、貨幣の流れびネットワークに逆転させる時に使えます。より複雑な例では、二部グラフ(後日詳細)から、共同所属、共起関係を導くのに使えます。

Q. 巨大なネットワークはそのまま可視化してもよく理解できないのではないでしょうか?
A. はい。まさにおっしゃるとおりです。巨大ネットワークはそのまま描くと、わけがわからない筋子のかたまりのようになります。そこで、類似した特性をもつノードをクラスタリングして、肉団子のようにまとめて粗視化することが多いです。Girvan - Newman Method という下位構造を抽出する手法があります。mixiの分析でATRチームが、駆使して、すばらしい絵を描いています。

Q.ノードのおき方によって見えるネットワークの印象が変わってくる気がします。可視化する際のきまりはありますか?
A. はい、ビジュアル系のかたがたが一生懸命とりくむ課題で、重要な問題です。同じ点と線の構造でも、配置により印象が全く異なります。残念ながら、サークルや、ばねモデルをつかった配置などがありますが、絶対的な決まりというようなものはありません。できるだけ論理性のあるノードの配置を心がけましょう。見やすくするためには、私は、紐帯の距離をできるだけ均等に、紐帯がクロスしたり重ならないようにする、ノードのラベルがある場合には→の矢先にぶつからないようにする、孤立点は外部に、次数の少ない点も外側に置く。などのきまりが漠然と頭にはいっています。。他にも良い方針があれば、ぜひ、提案してください。

Q. 農家の六次産業ネットワークの調査では、具体的にどんな質問を設定したのでしょうか?
A. 網編藤氏の研究会報告がAMRに掲載されています。そちらを参照してください。

Q. 教室は小さくならないのですか?
A. すみません、魔法使いではないので、私の力では無理です。 みんなでそばに来て、スモールワールドにしましょう^^
以上

Monday, October 16, 2006

机の上

 秋の学会大会が続々各地で開かれる。先月末には経済社会学会(これについてはまた、後日書こう)。今週末の組織学会、その先は社会学会の全国大会。講義が始まり、工場見学の誘いとバッティングするなど、仕事の旬。学会誌への投稿シーズン、研究会、査読、コメント待ち論文、依頼原稿。確かに山場である。

 秋灯し 机のうえの 幾山河 

 吉屋信子さんの句。この時期になるといつも思い出す。秋灯しは、あきともし、と読む。

学術論文の検索、書誌情報管理サイト、CiteULike http://www.citeulike.org/ をいろいろ試し、調整してみる。使えないことはないが、癖はある。緻密に丁寧な仕事が評価され、これまで順調にやってきた若い知人、仕事プレッシャで論文書けず、体調くずす。他者の目が気になったのだろうか。何がおいつめたのだろう?皆、人は自分の地獄を抱えている。

 つぶれるな。前だけ見て、神様にほめられる仕事だけをしていればいい。自分に言い聞かす。

  

Friday, October 13, 2006

社会ネットワーク研究会

 講演などののち、夕方から研究会のための経理確認、来週の講義の準備。
 夜はGBRC http://www.gbrc.jp/GBRC.files/top.asp で、主催する研究会。地方自治体の職員アンケートに基づいたネットワークの分析結果を、広島大学の若手気鋭が話してくれる。早くも研究会は、不定期ながら26回にもなった。この間、若手の報告者に恵まれ、ネットワーク分析を行っている多くの、かつ優れた報告をいただくことができた。大学関係の人事権をもたず、報告には報酬もない研究会だが、少数精鋭の聴衆と、ある程度のご報告の質を維持できているのが喜びである。報告も大事だが、研究会は聴衆が鍵である。どの程度、よい聴衆が集まっているかが、研究会の質を判断する。

 学会大会でいつも素晴らしいコメントをなさるのが、京大のH教授であるが、彼が「どんな報告であれ、聞き手としておもしろくしてみせる自信がある」とおっしゃっておられた記憶がある。確かにそうなのだ。蓄積のあるかたは違うと実感した次第である。以来、見習うべく修行中である。「忍」ではない。私が試されているのだと。

 さて、今日の研究会。テーマは、こちら http://www.gbrc.jp/GBRC.files/workshop/network.html

 これは忍どころか、実に内容が豊かで、若手らしさもあり、いい報告であった。まだまだ調査データは拷問できそうである。地方自治体の情報の宝庫。今後の発展を楽しみにしていよう。closure と structural holes の対比をいかに、理論、フィールド、モデル、調査結果ですりあわせていけるかにすべてがかかっている。常連の参加者のかたがたとの議論もおもしろく、いつもながら、楽しい会合であった。(ぜひ、みなさま、のぞきがてら、いらしてみてください。ご報告者希望のかたも、歓迎いたします。)
 中央線で、端から多摩のむこうのほうまで、朝晩で移動した一日。 

Wednesday, October 11, 2006

JWEIN2006

 少し前の話になるが、9/27,28と、JWEIN2006 阿寒湖で開催。昨年の伊東に引き続き、行ってきました。http://www.ai.sanken.osaka-u.ac.jp/ndei/index.php?cmd=read&page=JWEIN06

 共著者の院生さんに一人、報告をしてもらうためにきてもらったが、我らの会話。

「なぜ、東京や大阪で会える人に、阿寒湖で会うんでしょうねえ?」「ねぇ・・・?」

 羽田、釧路、バス、阿寒湖。道東は初めてである。参加希望していた学生さんは他にもいるのだが、さすがに阿寒湖と聞くと、遠慮します・・という感じだ。発表せずに、他者の話を聞きにだけ行くには確かに、遠すぎる。しかし、広い。空気が済んでいて、秋の気配。街は静か。

 会場について参加者をざっと見渡すと、今年は社会学系がイナイ。女もイナイ。考えてみると、二泊三日、家を空けて、ネットワーク三昧で、温泉にこもることが許される状況は、女性の既婚者や子育て中の者には考えにくい。主戦場の学会出張で手一杯な院生さんクラスになると、異分野系の交流戦にまでは、旅費の捻出ができないのだろう。よって、若手、女性少なく、中堅どころの研究者、企業関係者が多い会合になっている。

 去年といい今年といい、学際的な研究会はきわめて疲れるが、刺激になる。物理系、情報科学系、生物学系の領域におけるネットワークの分析の発展には目をみはるものがある。さすがだ。やはり、経営学、社会学よりの研究ばかりを普段は見ているので、目配りが足りない領域をいろいろ勉強させてもらえる。中には、理解不能、関係皆無・・・のものもあるが、今年は「忍」を課題として出かけたので、(そりゃそうだろう、わざわざ北海道まで行ってるのだから)、一つ一つ、このネットワークは、私だったらどう扱うか、研究としてより良くできるか?かなわないか?と自問自答しながら聞いていく。

 初日はチェックインしてすぐにセッション。夕食と風呂をはさんで深夜030まで続く。翌日も朝9時から懇親会19時まで延々とセッション。懇親会は宴会形式。翌日も朝9時から昼までセッション。まさにネットワーク三昧である。この間、ありとあらゆるネットワークの話が出てくる。生物学、経済学、Web、書誌情報、システム設計、医学系まで、本当に多様である。我々は、この夏、かわいがったシミュレーションモデルの話。

 二日目の昼の休憩はPCで、また議論。「社会科学系を集めたいなら、遠方でなく、都市で開催しないと難しい」と述べる。(事実報告のつもりが、主張・提案に変わり、来年も参加するぞという意思表明になってしまったのが大失敗(苦笑))。延々、懇親会直前までセッション。招待講演者、京大の高林先生の講演は、手練れ。素晴らしかった。ATRはいつもながら、いい研究を出してくる。これも◎。個人的には企業倒産のネットワークの話が◎。代謝系ネットワークの話は、私の基礎知識が不足して苦戦。海外からのゲストスピーカーのかたは、生物学系の先生であるが、パワーポイントの作り方が参考になった。なお、このかたは、なかなかお茶目なかたで、最終日の午後、阿寒湖温泉の土産物屋で人工マリモを売りつけられそうになっているのを見かけた。おそらく買ったのではなかろうか。

 昨年報告していた若手が腕をあげていたり、成長しているのを感じる。腕力のある若い研究者の成長は早いとしみじみ感じる。世話係の北大の先生、院生さんがたが、大変に気を遣ってくださり、いい会合であった。 

Tuesday, October 10, 2006

講義開始

 講義開始。ネットワーク分析について延々、100分×30回の講義開始。1月末まで、週二回、延々講義が始まった。真剣勝負である。100分といえば、のぞみに乗って、東京から名古屋くらいまで、一人で喋り続けているのと同じくらいの時間である。その間中、休みなく、延々と講義しつづけることになる。

 話をするときは、聴衆次第でどうにでもなるのは事実であるが、さすが、一昨年から続いている、今の大学の講義は緊張するが、楽しい。
 その感覚を比喩として、「富士山の高さがちがう・・」といってよく笑われるが、同じ話をしたときの最高峰の反応のしかたが違う。やるきのない学生、寝ている学生は、T大であろうがICU(母校)であろうが、どんな大学でもまったく、差はなく同じ。ただし、話題がヒットした時、ピンポイントで好奇心を刺激できた時の、反応が違う。うわ、かなわない、磨いたらどれほど優れた研究者になるだろう・・・・と思う学生にも会えることがある。講義は緊張するが、本当に好きだと思う。

 ただし、少数精鋭にするための、工夫はする。寝ている学生、やる気のない学生は別だからだ。今年も他大学からも数名、潜りというのか、よくわかならい=知らないということにしておく。はい、詳しいことは、知りません。

 

Sunday, October 08, 2006

喋りすぎる理由

先月末、消費者行動研究学会のワークショップに講師として出かけ、気乗りしていなかったにもかかわらず、気がついたら時間がオーバーするまで喋り続けていた。その理由を考える 9/26 のブログの続きです。

  ワークショップでは、参加者全員が、自分がそれぞれ抱えているネットワークの問題を語り始め、ネットワーク的な視点では、ある種の研究課題をどう解くかといった、一種の公開個別相談が始まってしまった。これにいちいち答えているのだから、学生との講義やゼミならいざ知らず、大学人・企業の研究者というプロ相手に、これはたまらん・・・と思いきや・・・。結果は、ついついのめりこんで、延々と大議論をしてしまったのだ。 肉屋と学者の比喩を考えつつ出かけていった人間のすることではない。

 何故か、私は、人々から彼らの関与しているネットワークの話を聞かされる(聞かせていただく)はめになりやすい。勘弁してくれと思う一方で、私は人のネットワークの話を聞くのが大好きで、ついつい話を聞くと黙っていられず、質問をしたくなり、議論をしたくなる。ネットワークの話に弱いのだ。この循環にはまったとたんに、喋りすぎる。実に悪癖である。

 だが、なぜ人は私にネットワークの話をしたがり、私はネットワークについて話したくなるのだろうか?

 これは考えてみれば、簡単な話で、女性週刊誌やワイドショーが大好きなおばさんが居たとしよう。彼女は、友人知人に、テレビや雑誌で見聞きしたゴシップの話を熱心にするだろう。そしてまた、友人知人も彼女には、タレントの噂話やスキャンダルなどの話をするだろう。なぜなら彼女は「語り手以上に、熱心に」話を聞いてくれるからだ。また彼女はそこで聞いた話を他者に語り、他者もまた、彼女とゴシップネタで盛り上がる。  

 情報は、その話題を発信する人のところに自然と集まる。

 私が知っているある研究者らも、好きで好きでたまらない場所に調査に行き、質問をしそこで見聞きしたことを、別の場所に行っては喋り、またそこで調査をし、質問をし、いろいろなことを見聞きし、それをまた他所で喋る。このローテーションが蓄積になり、経験知となっている知的集団がある。
 
 知的情報や分析力の商品化は課題であるが、消費者行動研究学会は確かに勉強にはなった。

Thursday, October 05, 2006

絶版の社会ネットワーク

 ゆえに天の将に大任を是の人に降さんとするや、必ずまずその心志を苦しめ、その筋骨を労せし む。 故天將降大任於是人也 必先苦其心志 勞其筋骨
 孟子の言葉である。この続きを調べないといけないのだが、ひとまずここに書きとどめておく。
 講義開始まであと5日。Google Gadget のカウントダウンが40日もあった頃が、ついこの間のようだが、 学会、研究会、サマースクール、講演会、あっという間に、秋である。
 授業に備えてあらためて平松闊先生の「社会ネットワーク」福村書店(1990)、(今は絶版)を読み直す。名著なり。絶版が惜しまれる。ネットワークに関心のある研究者で、まだ、お持ちでないかたおられるなら、古書店で見つけたら、絶対に「買い」の本である。
 御寿司屋さんのスモールワールドについてmixiにメモ。

Tuesday, October 03, 2006

智恵子抄

友よ、君の妻は余の敵なり
一介の夫人は、君の妻なる故を持って、余に不当の尊敬と懸念と好意と友情とを強ひむとす

 高村光太郎 智恵子抄より。

 さすがに詩人の感性は、関係の推移性の難しさを一瞬で見抜いている。
 それほど難しいのだ。愛情、嫉妬、友情、関係の両立は。これこそ本質。
 書くべきこと多いのに、自分でもものたりないくらい、書ききれていない。明日からまた、頑張ります。

弊社は、政府ならびに京都府・京都市外出自粛要請に従い、 完全休業させていただいております。残念ながら実質的には 3月以降、外出自粛に従い、コンサルティング ビジネスなどは一切、おうけできない状態にあります。 ・ネットワーク分析のノウハウ、 ・企業内人事の仲介と橋渡し ...