日経新聞1面に ”ネット企業 世代交代の波”との記事。上場を控えてか、月間閲覧数で、ミクシィが楽天を超えた等々。3月のコンピュータ産業研究会でも、社長の笠原氏が、「閲覧数も増加しているが、特徴的なのは、閲覧者の滞在時間が長いこと」だと強調しておられた。ミクシィは、ご縁があってデータ分析させていただいたこともあり、私も長らく愛用させていただいている。
mixi http://mixi.jp/ に限らず、SNSの集客力は、自分の友人が、誰とつながり、どのような友人をもっているのかを知ることができる点(マイミクにどういう人物が含まれているのか)にあると思われがちだが、これは誤り。今は、知人を知る機能は、二次的なものだと私は思っている。
では、SNSがリピータを獲得し、閲覧時間を増加させるメカニズムで、もっとも重要なのは何か。
それは、SNSと日記のコンビネーションである。単なるブログとはやや違う。
自分の友人が、自分以外の他者には、日々、どのような姿を見せているのか、自分の知らない所で、友人がどのような社会関係を築き、そのなかで、どのような行動をしているのかを、日々、理解できることだ。ATRの湯田氏のいう「関係の地平線」の向こう側を、SNSは少しだけ私たちに知らせてくれる。関係の地平線とは、知人関係の連鎖は果てしなく広がっていくが、自分が知ることのできる範囲はきわめて限られているということだ。知人の知人の一部を知ることは可能だが、その全体を我々は把握することはできない。夫婦でさえ、親子でさえ、お互いにすべての知人を知っていることはないのだ。
だが、私の知らない他者とあなたの関わりを、snsはリアルにうかびあがらせる。日記に書き込まれる様々な行為の記録は、その人が友人、知人に見せている様々なパーソナリティの最大公約数として集約されていく。様々な社会関係のなかで、どのように他者が生きているのか。
知人関係と行為の記録とのコンビネーションが、社会的な広がり、時間的な広がりをもって展開するSNS。この春、学会で話を聞いたOrkut氏についてもまた、いずれ書く機会があるだろう。
(有限会社)社会ネットワーク所 取締役社長 安田雪(Ph.D. in Sociology) 人脈・組織・企業・地域・都市の社会ネットワーク分析、信頼できる仲間のつくりかたなどについて講演のご依頼もおひきうけいたしております。著書は『ルフィの仲間力』『ルフィと白ひげ』(ともにアスコム)『ネットワーク分析-何が行為を決定するか』(新曜社)『つながりを突き止めよ』(光文社)など多数。
Tuesday, August 29, 2006
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弊社は、政府ならびに京都府・京都市外出自粛要請に従い、 完全休業させていただいております。残念ながら実質的には 3月以降、外出自粛に従い、コンサルティング ビジネスなどは一切、おうけできない状態にあります。 ・ネットワーク分析のノウハウ、 ・企業内人事の仲介と橋渡し ...
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23:50 情報の信頼度、発信者の信頼度(twitter内、一般社会)、身元・責任・肩書き、規模、フォロワー数、フォロー数、発言数、RT数、各Nの調整、F及びRT関係の継続性、集団数、集団閉鎖性、重複性、ストッパー、沈黙者。情報内容(言葉)ぬきでもこれだけ。心から御礼を。一...
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