Tuesday, September 05, 2006

推定の過大と過小

 mixi上場をふまえ greeの社長のコメントが日経新聞に出ていた。greeは 6degreeからとのこと。そこで、今日は忘れないうちに、6 degree スモールワールド実験のその後について書いておく。

 ミルグラムのスモールワールド実験では、世界の人々は6次のへだたりでつながっているとされてしまっている。だが、この値は、実験ては、実際に到達しなかった分を除いて計算した平均値であるから、実際の未到達分をふくめれば、6次で人々がつながっているわけがない・・というのが、バラバシらの主張である。確かにこの点については、そのとおりである。実際は6次以上だろうし、過小推定である・・・というわけだが、この話はすでに有名である。

 一方で、6次は、過大推定の可能性もあるという説がある。これは 電話帳法で有名な、Killworth先生の最新の論文に書かれている。

 人々が知人に手紙を委ね、最短でターゲットに到達させるという課題が託されたときに、本当に被験者は、実際の最短距離で、人に手紙を委ねているだろうか?という問題設定である。たとえば、私が熊本県のとある高校教員に手紙を届けることが課題とされたとき、私は、本当の最短距離の人に手紙を託すことができるだろうか?とりあえず九州にいる知人に託せばいいかと思いそうだが、実際は都内の高校の先生に託したほうが最短距離で効率的かもしれない。
 ということを考えると、実際にスモールワールド実験で成功したチェーンも、最短距離を必ずしも通ったとは言えない。したがって、もしかしたら、6degree より短い距離で人々はつながっているかもしれない。(で、ここからシミュレーションでその問題を解くのが、Killworth先生の論文の見せ場である^^。

 で、この実験をある設定でやってみたところ、人々は、人気のありそうな人~人脈の広そうな人、
中心性のたかそうな人に、手紙を送る傾向があることが判明。で、この人気のありそうな人同士が
相互に送付しあうと、ループができてしまい、連鎖が切れる。

 いやはや スモールワールドは奥が深い。

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