Sunday, September 03, 2006

サマースクールの収支:元はとれたか

 ネットワーク生態学http://www.jaist.ac.jp/~yhayashi/NetEcoG_top.htmlという研究グループのサマースクールに参加してきた。宿泊先で接続できず、blogもストップさせていたので、数日間の感想・記録をまとめておく。参加者約80名。院生が半数以上の若い集団。社会科学系とみきわめがつくのは10人に満たず、理工学系が中心。このグループは、立ち上げのシンポジウムでスピーチをして以来、ご無沙汰していたが、久しぶりにこの会合に参加した。今年は、わざわざ遠方までいく理由があったからだ。
 
 印象に残ったこと。まず、増田氏”ネットワーク上のパーコレーション”レクチャー。
 複雑系のネットワークの人々が、何を問題とし、いかなる解を追求しているのか。その違いがよくわかった。具体的には、連結成分が無限に広がる条件は何か。クラスターが無限に広がるための「臨界値」はいくつか。それが、連結の型、一次元格子、正方格子からはじめて、より複雑な構造になるとどう変化するか。マーケティングや社会学における普及研究と、本質的に追求していることは同じだが、具体的問題設定と解き方、求めるべき回答の設定。我々ネットワーク分析との本質的な違いがわかった。彼の著書「複雑ネットワークの科学」http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4782851510
のうちの一章の解説だが、やはり本を読んでいるのと、講義として聞くのでは理解度が異なる。複雑系研究は、単純なルールから、いかに複雑な全体を構築できるのかに、多大な関心を払うように思えるのだが、いろいろなリサーチクエスチョンがあるものだ。

 参加者の特徴。平均結合相関、モジュラリティといった、社会科学系ではあまり使われていない指標が、このグループではよく使われている。全体の型を追求することに主眼がおかれ、紐帯の重み、関係の強弱に対する関心はやや弱い(これは増田氏と懇親会の席で、天童ワインを飲みながらの話したこと。)

 同じネットワークを扱っていても、問題意識が違い、何を成果とするかが異なっているとしみじみ実感。理工系はアルゴリズムやメカニズム。あるいはシステム。文系は「言葉」で書くものが最終的なアウトプットとなる。企業は金になるものを成果とする。今回の目的の一つは、ネットワーク分析を使って組織コンサルをする企業のかたがたにお目にかかること。これも達成。もう一つプライベートだが、終了後、山形在住の知人と何年ぶりかで会い、食事。やり手の経営者になっていて頼もしい。 収支計算。概算で(交通費(24000)+参加費(15000)+宿泊費(17000))だが、元はとれたというべきか。

備忘録:N-クリークの表記→N=クリークではない。 半径→直径。
「こういう(ネットワークの指標などなど)は、どうやって勉強するのですか」発言。(勉強しにくい領域なのだろうか?私には謎。発言者と今度詳しく話してみよう。)
 

No comments:

弊社は、政府ならびに京都府・京都市外出自粛要請に従い、 完全休業させていただいております。残念ながら実質的には 3月以降、外出自粛に従い、コンサルティング ビジネスなどは一切、おうけできない状態にあります。 ・ネットワーク分析のノウハウ、 ・企業内人事の仲介と橋渡し ...