Wednesday, November 29, 2006

「進化するネットワーク」への質問

新刊「進化するネットワーク」を共著でだされた湯川抗先生に講義にいらしていただきました。講義後にあがった質問とお答えをまとめました。

Q.  「仕入先より販売先の拡大」というのは、相対的に後者を重視すべきということで すか、前者の影響も強いと思いますが。
A. 前者は、授業で説明したとおり、PC、回線、プリンタというコモデティ化されたモノなので影響は強くないと考えられます。

Q.政策とか経営にどう適用されるのかがもっと聞きたかったです。 
A.ぜひ「進化するネットワーク」(林、湯川、田川)を読んでください。
よろしくお願いします(苦笑)。

Q. ネット企業とIT企業の違いがよくわかりません。 
A. 今回の分析対象では、ハードウエアを扱う企業はDBに入れていません。また、通信一般の企業、あるいはその付帯設備に関する事業を行う企業も除外しています。あくまでも、インターネットの上でビジネスを行う企業を対象としている点が一般の「IT企業」との相違です(このあたりも、本には書いてありますので、お読みください(再び苦笑)。)。

Q. 媒介性と利益の負の相関について、より詳しく知りたい。たとえば、その利益率の低さは競争に関わっていることが原因なのか、単に業種の異 なるクライアントをもちすぎていることが原因なのでしょうか。
A. 大変良い質問ですが、ネットワークの構造分析だけではこの問題はとけません。 個別に企業取引パターンを丹念にあたっていかない限り、識別できません。

Q. 媒介性と利益が負の関係になるのは、ある企業が同様のサービスを提供する複数の 企業に対し、互いの競争をうながすような方法で囲い込んでいるためという理解 でい いのでしょうか。 
A. それも一因ですが、それがすべてではありません。上記(4)の質問と答えを参考 にしてください。

Q. クラスター内に研究対象を限定した時と、そうでない時とでは何が違うのでしょうか。
A. 良い質問ですが、そもそもの問題意識がクラスター内部の「企業間ネットワーク」の型と、その影響を分析する研究であるため、クラスターをはずした際の結果は良くわかりません。ただ、本日お話したような企業の戦略に関してはかなり一般化できるように思っています。

Q. 会社法の施行は06年4月からのはずですが、一円企業は05年からできたのでしょうか?
A. 一円企業は会社法の施行とは無関係で、平成15年2月1日に改正された「新事業創出促進法」に基づくものです。参考http://japan.cnet.com/column/market/story/0,2000055915,20098503,00.htm

以上、湯川先生からのお答えでした。

やはり、ビジネス最前線のかたのお話は「モデルのためのモデル」「抽象論」にとどまることなく、具体的で迫力があります。私もいい勉強をさせていただきました。

No comments:

弊社は、政府ならびに京都府・京都市外出自粛要請に従い、 完全休業させていただいております。残念ながら実質的には 3月以降、外出自粛に従い、コンサルティング ビジネスなどは一切、おうけできない状態にあります。 ・ネットワーク分析のノウハウ、 ・企業内人事の仲介と橋渡し ...