Wednesday, November 01, 2006

組織診断

 組織学会研究大会でも報告した、組織診断とネットワーク分析について、ジャーナルへ論文を書くことになり、先日、テーマ設定、データの再整理と、共著者との調整うちあわせ。方法論がなければ、データあれども何もできず、当然、論文も書けず。だがデータなしに方法論だけでは、具体的なモノは書けない。SQLサーバのデータを加工し、特定の形式に変換して組織のリアルなデータを提供してくれるかたもある。当初からのプログラミングとネットワーク分析の融合に可能性をみた舞台の設定者もある。直接、ログデータはたたけないが、ノイズ除去に誠心誠意をこめてくれるかたもある。これらがみな、インタラクションしつつ、ノウハウをだしあい、紆余曲折しながら開発は進む。

 工学系の、関与した人全部=データを整形した人、お金をだした人、企画した人、すべて共著者設定の論文にするか。一文字でも書かない人は排除する社会科学系設定でいくか。他者と共同で、自分にはできないことを誰か他者にしてもらって書いた論文の場合、共著者設定をどうするかは、いつも課題である。企業のかたがデータをl、それも整形して、こちらのお願いした形式でくださるのを当然と思ってはいけないと思う。では、フィールドとして人から聞けない話をきかせてくださった企業のかたはどうなるんだろう?企業データの提供者はどうなのだろう?つきつめていけば、彼らの誰ひとりとしてなくしては書けないのだ。とはいえ、インタビュー、参与観察の対象のかたを共著者にするという風土は、学者にはないもの確かである。

 研究関心で関与してくれた学生がデータを分析するのは大変いいことである。ただ、グレーゾーンは守秘義務のかかっている案件に、アルバイトとして謝金を払っている場合。これはビジネスであり、学術研究にそのプロジェクトデータを使うには、細心の注意がいる。ここは、一線を画していただくのがいいのかもしれない。 このあたりは、実に微妙である。
 が、著者、共著者、順番、業績は、すべて実態を反映したかたちで、というのがもっとも良いだろうと考えている。関与してくださるかたが、共著作品をどう位置づけるかということにも当然、影響する。ビジネスなのか学術的実績にしたいのかで、筋をとおすべきところはとおしてもらわねばならぬ。何で飯を食っているかの違いである。

 お作法が違うといろいろ悩みはある。が、人生いろいろ、これらもやはり、誰もが通る道。多様性を求め、空隙に架橋すればなおのことである。

 尊敬してやまぬ、神戸在住のH先生から、訳書「競争の社会的空隙」について過分なお言葉のメールをいただく。先生には、お目にかかれぬ状況になり、長い時間がたつ。社会ネットワークについて、我が国初の本を編著なさった、まさに日本初のネットワーク分析者であられる。私にとっての届きえぬ金字塔であり、先生の15年以上前の本に追いつけないのが私の力量である。神戸にむいて、黙して一礼する。
 
 あれこれで原稿頓挫。明日、徹底的にこなさねば。

No comments:

弊社は、政府ならびに京都府・京都市外出自粛要請に従い、 完全休業させていただいております。残念ながら実質的には 3月以降、外出自粛に従い、コンサルティング ビジネスなどは一切、おうけできない状態にあります。 ・ネットワーク分析のノウハウ、 ・企業内人事の仲介と橋渡し ...