Tuesday, October 17, 2006

network analysis FAQ (trial version)

ネットワーク分析 FAQ (試作品です)

Q. ネットワーク分析では、分析する時に何を見るのでしょうか?
A. 関係のない部分、関係の偏っている部分に注目します。完全に皆が皆と等しく連結しているような情況、あるいは、全く関係の存在しないような場合には、ネットワーク分析は手出しができません。帰って寝ましょう。

Q. 可視化すると用いた数値データがあいまいになってしまう気がします。そこまで精緻な情報は、ネットワーク分析の対象ではないのでしょうか?
A. はい。点と線だけの単純なグラフにすると、紐帯の強弱、関係の強さの情報が欠落してしまいます。そのため、紐帯の強弱を数値で紐帯のわきに記す、重みつきグラフを描いたり、場合によっては線の太さを変えたりして表示します。後者の方法でも、一定の情報は失われます。

Q. 行列をどうネットワーク分析に使うのかが知りたいです。可視化のためというのは、わかりますが、行列は足し算や掛け算をするものではないのですか?
A. 行列の足し算やかけ算って何のためにするのでしょう?ネットワーク分析の指標を算出するために、私は行列の演算をします。

Q. 産業連関分析では、紐帯数の多少に差があるということですが、業界規模が関係しているだけではないのでしょうか?ネットワーク分析をする意義がわかりません。
A. 各産業ごとの規模の大きさもさておき、他産業との間に存在する強いかかわり(投入量、産出量)を抽出しています。単体の産業連関表のネットワーク分析は、数理社会学による経済学領域へのINVASIONを楽しむというスリルもあります。

Q. mixiの研究でどんなことがわかりましたか?
A. クラスタリング係数が0.3と少し、パス長の平均が5ステップくらいなどの、基礎統計量ですね。ATRの湯田研究(05.06)、松尾・安田(投稿中)を後日参照してください。

Q. 単純なローカルルールを積み重ねて、複雑なネットワークを作ることのイメージがわきません。
A. 伝染病の蔓延、感染症の連鎖構造など、「未知で形のつらなりがわかっていない」関係の全体像について、モデル構築をしていきます。(勝又、安田06参照)

Q.アクターの性質を他のアクターとの関連から見るのだとは思いますが、その他のアクターの性質を考えないことには、理解したいアクターの性質はわからないのではないのでしょうか。
A. はい。分析を行っていても、当該アクターそして、当該アクターと関連をもつ他のアクターの属性、性質についても最終的には考慮にいれたほうが、研究は豊かになります。

Q. ネットワークの可視化、説明可能性、管理可能性、そして打ち手の提案という流れですが、具体的なイメージがわきません。
A. この提案までのプロセスの実現が一番難しいところです。構造抽出→絵→状態記述。その後いかに、そのネットワークを効率化、合目的化した形態にするかというのは、分析対象にもより、一概には言えません。講義では、できるだけ具体的な例を探して話たいと思います。

Q. グラフ理論という用語がありましたが、”理論”といわれてもぴんときません。
A. Graph Theory のTheoryの部分ですね。グラフが、点と辺からなる構造だというのは講義で説明しました。グラフの数学的特性を考える研究分野です。この理論の出発地点は、ケーニヘスベルグの橋です。歴史的な発展経過についは、「グラフ理論への道」。(素敵なタイトルですね。)土人書館をお勧めします。

Q.行列の転置は、分析にどう使えるのでしょう。
A.単純な例では、商取引あれば、商品のネットワークを、貨幣の流れびネットワークに逆転させる時に使えます。より複雑な例では、二部グラフ(後日詳細)から、共同所属、共起関係を導くのに使えます。

Q. 巨大なネットワークはそのまま可視化してもよく理解できないのではないでしょうか?
A. はい。まさにおっしゃるとおりです。巨大ネットワークはそのまま描くと、わけがわからない筋子のかたまりのようになります。そこで、類似した特性をもつノードをクラスタリングして、肉団子のようにまとめて粗視化することが多いです。Girvan - Newman Method という下位構造を抽出する手法があります。mixiの分析でATRチームが、駆使して、すばらしい絵を描いています。

Q.ノードのおき方によって見えるネットワークの印象が変わってくる気がします。可視化する際のきまりはありますか?
A. はい、ビジュアル系のかたがたが一生懸命とりくむ課題で、重要な問題です。同じ点と線の構造でも、配置により印象が全く異なります。残念ながら、サークルや、ばねモデルをつかった配置などがありますが、絶対的な決まりというようなものはありません。できるだけ論理性のあるノードの配置を心がけましょう。見やすくするためには、私は、紐帯の距離をできるだけ均等に、紐帯がクロスしたり重ならないようにする、ノードのラベルがある場合には→の矢先にぶつからないようにする、孤立点は外部に、次数の少ない点も外側に置く。などのきまりが漠然と頭にはいっています。。他にも良い方針があれば、ぜひ、提案してください。

Q. 農家の六次産業ネットワークの調査では、具体的にどんな質問を設定したのでしょうか?
A. 網編藤氏の研究会報告がAMRに掲載されています。そちらを参照してください。

Q. 教室は小さくならないのですか?
A. すみません、魔法使いではないので、私の力では無理です。 みんなでそばに来て、スモールワールドにしましょう^^
以上

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